こんにちは。浅野総合法律事務所 代表弁護士の浅野英之です。 今回は労働法分野で注目されている「パワハラ防止法(※)」にもとづき、ハラスメント発生時に企業側がどのような対応をすべきかについて解説します。. 当該従業員は、女性上司が子どもの学校の成績、共働きの妻の年収、休日の過ごし方などのプライベートについて、根ほり葉ほり聞いてくることが苦痛であるということでした。そのため、女性上司に悪気はなく、業務を指示するにあたり、部下のプライベートな事情や生活状況等を考慮することを目的で聞いているのだから、パワハラにはあたらないと話したところ、相談者は怒った様子で「じゃあ、もういいです。」と告げて、電話が切られてしまいました。一通り相談者の状況を確認したところで、すでに1時間を経過していたため、今後の対応については、後日、改めて電話で相談を受けることとしました。後日、相談者は会社としての対応(事実調査など)を希望されるとのことでしたので、今後の会社としての対応プロセスを確認し、改めて担当者から連絡することとしました。相談窓口担当者は、相談内容を相談管理票に記載するとともに、「会社対応の希望ありの事案」として、ハラスメント調査の責任部門にあたる人事部への引き継ぎのため、報告を行いました。そこで、パワハラがあったと判断できないけれども、このままでは事態が悪化する可能性があるとして、部下に指導する際には、怒鳴ったり、人格を攻撃することは望ましくないこと、部下の仕事の行い方にどのような問題があったのかを具体的に指摘し、改善することが上司の役割であること、について行為者と繰り返し話し合い、理解を促しました。女性従業員は、現在、取引先のお客様先に出向しており、出向にあたり上司から大事な取引先であり、上手くやるようにと念を押されていました。出向先のグループリーダから飲み会の誘いを受けたものの、家庭の用事があったために参加を断ったところ、翌日から当該リーダや数名の従業員に挨拶をしても無視されるようになったほか、書類のコピー等、簡単な作業しか仕事を任されなくなりました。出向元の上司から念を押されていることもあり、事態の解消を自分から言い出すことができずに、3か月経過したところでした。結果、先輩従業員(行為者)と看過していた上司への懲戒処分ならびに先輩従業員(行為者)を別の支店に異動させました。相談者と行為者との間の事実認識が一致しなかったことについて、相談者に改めて説明を行い、相談者と今後の対応を再考した結果、職場の第三者にも事実調査を実施することとしました。課長Aには、管理職としてのスキル向上のためのリーダーシップ研修、アンガーマネジメント研修、アサーション研修などの受講を指示するとともに、部長Bが日常的に納期に遅れる部下に対する指導方法を課長Aと検討することとしました。加えて、健康管理の観点で、定期的な産業医との面談を薦めました。最初は、作業手順などを丁寧に教えていましたが、なかなか作業を覚えない後輩従業員に対して、「お前は本当にばかだ。早く辞めろ」などの暴言をするようになっていきました。それを見ていた同じ職場の同僚は、上司に相談していましたが、先輩従業員が指導の一貫として行っている行為と見ており、特に対応をしていませんでした。しかし、先輩従業員の行為は次第にエスカレートし、暴言が連日続き、後輩従業員の作業着や備品を蹴飛ばすなどの行為も見られたことから、同じ職場の同僚は心配になり、第三者として相談窓口に通報を行いました。行為者の要望を踏まえて、人事部の部長と課長は、相談者が所属する部署の責任者である本部長と検討を重ね、相談者と行為者が業務上接点を持たない体制変更を行うこととしました。© 2015 Ministry of Health, Labour and Welfare課長Aへの注意・指導は、周りに話が漏れないよう会議室を準備し、部長Bと課長Aの2人で行いました。部長Bが、怒鳴りつけることは業務上の指示・指導に必要なものではないことを伝え、今後は慎むよう注意を行いました。課長Aは、大声で叱った事実は認めたものの、業務遂行上必要な処置であり、部下の業務の進め方では、納期に間に合わないとし、人格や尊厳を損なう言動はないと認識しており、当初は注意を受けていることに不服な様子が伺えました。職場への事実調査は、行為者の上司にあたる担当部長A、行為者・相談者と業務上接点がある同じオフィスで働く同僚B、同僚Cの3人に対して事実調査のヒアリングを行いました。3人には、事前に3人にだけ話を聞くことと、守秘義務厳守である旨を伝えて行いました。環境改善のため、相談者の要望も踏まえ、業務上、行為者との接触を断つような配置換えを行いました。相談者と面談を行ったところ、日常的に行為を受けているとのことであり、日々身体的苦痛を感じている様子でした。相談者の了解の下、相談担当者と人事部の担当部長の2名で行為者に事実確認を行うこととしました。「どのようなことでお困りでしょうか」と聞いても、言い出し辛いような様子が伺えたため、同性である女性の相談担当者に電話を引き継ぎました。当初、相談者は何から話せば良いのか困った様子で言い淀んでいたので、「間」を大切にしつつ、お互いの信頼関係の形成を意識しながら傾聴していくことで、徐々に警戒心が説かれ、相談内容に入ることができました。課長Aが、部下を個室に呼び出して長時間怒鳴りつけることが日常的に行われており、職場に来られなくなった部下が出てきてしまっているとの通報が窓口にありました。再発防止策として、従業員全員に対してパワハラへの理解を深めるための研修を行いました。また、行為者は、相談者との関係性は良好であると認識していました。また、相談者の作るひどい資料を丁寧に添削してきたとも話しました。次に、同僚Bに事実確認を行ったところ、行為者が相談者に、「頭を叩く」、「肩を突き飛ばす」等の場面をしばしば目撃していました。行為は、夜遅い時間帯に行われることが多く、「指導」を超えているのではないかと思っていたと話しました。同僚Cへの事実確認からも、同僚Bと同様の意見が出ました。行為は、担当部長Aの目に触れない夜間帯で行われていたため、担当部長Aは把握できていませんでした。当該男性管理職は、部下3人が業務時間中にひそひそと自分の悪口を話していることを小耳にはさみ、自分が仕事を頼むと「今、必要ですか?今じゃなくてもいいんじゃないですか」と言ったり、舌打ちをしたりもします。外出先から電話をしても、業務が忙しいことを理由に電話口にでないことさえあるということでした。作業手順が遅い従業員を先輩従業員が暴言を吐くなどが頻繁にありました。人員や予算を考慮して、管理職や従業員を相談員に選任し相談対応を行う、コンプライアンスの相談窓口と一体的にするなど、自社で実施しやすいような方法をとるとよいでしょう。また、各種ハラスメントは複合的に起こることも想定されることから、セクシュアルハラスメントやいわゆるマタニティハラスメントの相談窓口と一体的に運営することが望ましいでしょう。<パワーハラスメントがあったと判断することはできないが、そのままでは事態が悪化する可能性があり、何らかの対応が必要な場合の留意点>事実確認にあたっては、相談担当者1名と管理職への教育などを担当している人事部の副部長の2名で対応することとしました。また、行為者には、秘密厳守であることと報復などがあってはならないことを最初に告げて事実確認を開始しました。事実調査を担当した相談担当者と総務部の課長の2名より、相談者に調査結果の説明を行いました。行為者へ事実確認の内容を説明し、行為者本人が事実を認めていること、会社は本事案の原因は行為者側にあると判断していること、行為者本人も反省している様子であったことを相談者に伝えました。事実確認の内容については、おおむね納得した様子でした。行為者は、コミュニケーションの一環として、日頃からボディランゲージ(身体的な接触)を行った事実は認めたものの、相談があった「資料を投げつける」等の行動はしていないと主張しました。一方で、今後の会社としての対応措置を検討するにあたり、相談者の希望を確認したところ、相談者は、行為者の顔をみるとドキドキしてしまうことから、行為者の異動を希望し、異動が不可能であるならば、行為者に対する会社からの処分を望んでいました。匿名による通報であったため、被害者本人による通報か、第三者による通報か確認できなかったものの、相談窓口担当者と人事部との間で対応を検討し、状況を把握するために、行為者の上司へ事実確認を行うこととしました。しかし、部下に直接指示を行う立場にある課長として、相手の置かれた状況や心情、心身の調子に十分な配慮が必要であることを丁寧に伝えていくことで、次第に通報内容を真摯に受け止め、今後は言動を改めることを約束するに至りました。第三者から通報を受けてから1ヶ月程度の間に事実確認を行うとともに、就業規則に基づき、総務部長が指名した懲戒委員会メンバーで処分の検討を行いました。ある日、ハラスメント相談窓口に女性従業員より相談の電話がありました。相談者の了解の下、行為者に事実確認をした結果、相談者の申告どおり、日常的に業務の範疇を超えた対応を強いられている状況であることが確認できました。対応案の決定を受けて、体制変更を行う考えがあることを人事部長から相談者に説明を行い、今後は行為者との接点がなくなることで、相談者の了解を得たものの、相談者は、行為者から報復を受けないどうか不安な様子でしたので、行為者の上長から強く注意・指導を行うとともに、今後半年間は、相談者と相談担当者、人事部の課長の3名で定期的に面談を行うこととしました。事実確認は、人権啓発室の室長と行為者の上司にあたる部長Bの2人の間で行われました。部長Bは、状況をある程度把握していましたが、業務上必要な指導の範囲と認識。しかし、行為者は課長に昇格して日が浅いこともあり、普段から行き過ぎた言動が見受けられ、部下への配慮が欠けているとの意見が伺えたため、部長Bを通じて注意・指導を行うこととしました。複数回の話し合いの結果、行為者は次第に言動に変化がみられるようになっていきました。相談窓口(一次対応)から再発防止策として、例えば、以下のような流れが考えられます。相談を受けた相談窓口の担当者は、総務部長と相談し、相談窓口担当者と総務部長で後輩従業員本人(被害者)と同じ職場の4~5名に事実確認を行いました。相談者は、先輩従業員から、自身の体型について揶揄され、痩せることを強要される、毎日のように体重の報告を求めてくるなど、業務とは関係のないことを強いられ、出社するのが苦痛であるとの相談が窓口にありました。相談者が「会社としての対応」を希望したために、行為者に事実確認を行うこととしました。上司に質問をしても「なぜわからないのか」と言われ、「頭が悪い」、「朝10時に今日はもう帰ってもいい」などの罵声をこの半年毎日のように浴びせられているという相談が相談窓口にありました。事実確認を行った結果、1年以上にわたる暴言がなされていたことがわかり、すぐに先輩従業員(行為者)を自宅待機(処分確定ではないので、有給休暇扱い)とし、総務部長が先輩従業員(行為者)との面談を重ねました。上司が「相談者の作った資料を丸めて投げつけてくる」、「シャープペンの芯で頭をつついてくる」等の行為を行うという相談が窓口にありました。職場への調査結果を受けて、相談者の申告どおり、日頃から身体的な苦痛を受けている状況であると会社が判断しました。まずは担当部長Aへ事実確認を行ったところ、行為者が日頃から厳しい言葉で指導している状況はある程度認識していたものの、相談者の資料がひどいことは前任の課長からも聞いており、丁寧に指導しているという認識でした。ハラスメント相談窓口に、管理職の男性が青い顔をして訪ねてきました。相談にあたっては、外に声が漏れない部屋を用意して、相談担当者男女2名が、落ち着いた気持ちで話してもらえるように配慮しました。ある日、ハラスメント相談窓口に男性従業員より匿名で相談の電話がありました。相談担当者は、急ぎ対応した方が良いと考え、相談者に了解を得ることなく、該当の部下3人に事実確認を行ったところ、あっという間に職場中に当該管理職が相談に行ったことが知られてしまい、問題がこじれてしまいました。行為者は、大きな声で叱ったり、指導したりした事実は認めたものの、それがパワハラに該当する罵声や罵倒にあたる言動であるという認識は持っていませんでした。そのため、相談者の了解を得た上で、職場の第三者にも事実確認を行いましたが、外勤の多い営業職の従業員がほとんどだったため、事実関係をはっきりと確認できませんでした。
「介護現場におけるハラスメント対策説明会」 日時: 科目・講師: 第1回 令和2年1月9日(木) (定員300名) 13:00 ~ 15:45 ・「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」について 講師:株式会社 三菱総合研究所 保坂 孝信 様 Ⅰ 職場におけるハラスメント防止対策 職場におけるハラスメントは、職場において労働者の能力発揮を妨げ るばかりでなく、企業の社会的評価を著しく低下させることにもなりか ねない雇用管理上の問題で … ハラスメント対応フロー(1) ※ハラスメントに関する相談窓口のほか、担当教員、学生相談室、学生生活指導委員、所属長など悩み全般や問題解決に手助けしてくれる窓口 が他にもあります。 表2~表5は本文中の暴力・ハラスメント対策の取組に関するチェックリストや暴力をハラスメントが発生した際の対応フロー(例)を抜粋して掲載しています。各事業所で関係機関、連絡先等を記入する等工夫してマニュアル作成にご活用ください。
職場におけるセクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です 職場におけるハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置が、法及び指針に定められています。 ハラスメントを受けることが多くなりがちです。看護者は患者さんを受容しな ければいけないとの思いから、暴力を受けても「対応が悪かったのでは・・」 といった感情抑制が働きがちです。しかし、どんな場合でも問題を抱え込まず あかるい職場応援団は職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)、いじめ・嫌がらせ問題の予防・解決に向けた情報提供のためのポータルサイトです。
ハラスメント対策専門家派遣事業の申込みを開始しました。 2019.05.31: 職場のハラスメント対策支援セミナーの申込みを開始しました。 2019.05.30: 5月29日に、第198回通常国会で企業にパワハラ対策を義務づける改正法が成立しました。 相談対応フローチャート等)は様式集からダウンロードできます。様式集(男女雇用均等関係)はこちら (財)21世紀職業財団ホームページでは、セクシュアルハラスメントに関する各種資料・研修等の情報をご覧いただけます。 ¥å¤«ãã¦ããã¥ã¢ã«ä½æã«ãæ´»ç¨ãã ãããåæã»ä¼æ¥ã»å¹´æ«å¹´å§(12æ29æ¥ï½1æ3æ¥)ã¯éåºãã¦ããã¾ãããå©ç¨è çã¸ã®æ´åã»ãã©ã¹ã¡ã³ã対çå¨ç¥ã»åçºè³æã¨ãã¦ãæ´»ç¨ãã ããã©Shiga Prefectural Government.