吉行淳之介が亡くなってから、既に20年という歳月が過ぎ去ってしまいました。 1954年『驟雨』で芥川賞を受賞するのですが、当時吉行淳之介を含め同世代の作家たちは「第三の新人」と呼ばれていました。 この人の軽妙洒脱な小説やエッセイの文庫本が、同じ「第三の新人」の遠藤周作や安 …
夜道を自転車で帰宅途中に卑猥な言葉をかけられながら車で追いかけられたり、ひとり暮らしのポストに大人の女性のセクシーな写真(気持ちの悪い言葉が書きこまれている)を入れられたり、見知らぬ男性に部屋のドアノブを何度も回されたり。いつものようにぼんやりとdマガジンで雑誌婦人公論を読んでいたところ、エッセイストの関容子さんという方と女優の吉行和子さんが書簡を往復しているページと出会った。吉行和子さんは言わずと知れた大女優だが、そもそもは作家・吉行エイスケと美容師でエッセイストの吉行あぐりの娘。また、作家・吉行淳之介の妹でもある。この家族の物語はかつてNHKの朝ドラにもなっていたことを覚えている人もいるだろう。往復書簡のなかでは吉行家の話が主になされていた。吉行和子さんがコロナ流行の今、100年も前のスペイン風邪が例として出ることに触れ、母あぐりさんがかつてそれについて話していた内容を記している。「あけみ」と同じようにかつて私も、若い女性であるというだけで男性に値踏みされるということに嫌悪感を持っていた時期がある。18歳から33歳くらいまでの間、自分が性の対象であるのだなということがありありとわかる嫌な想いを何度かした。1976年生まれである私の仕事や創作、観劇、思い出話など日々の出来事を記録。 「お付き合いに気をつけなさいよ。とくに、三悪人というのがいますからね」 「先生、三悪人って?」 「遠藤周作、安岡章太郎、吉行淳之介。こういう人たちに誘われても、ぜったい駄目」 私は黙ってしまった。 気配を感じて、先生が私の顔をそっとごらんになった。 いつものようにぼんやりとdマガジンで雑誌婦人公論を読んでいたところ、エッセイストの関容子さんという方と女優の吉行和子さんが書簡を往復しているページと出会った。 吉行和子さんは言わずと知れた大女優だが、そもそもは作家・吉行エイスケと美容師でエッセイストの吉行あぐりの娘。
安岡 章太郎,遠藤 周作,吉行 淳之介『サアカスの馬・童謡』の感想・レビュー一覧です。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。読書メーターに投稿された約1件 の感想・レビューで本の評判を確認、読書記録を管理することもできます。 13.おきみやげ 幸田文 14.童謡 吉行淳之介 1969年 15.途中下車 宮本輝 1980年 16.離さない 川上弘美 1998年 17.沈黙 村上春樹 1999年 18.電話アーティストの甥/電話アーティストの恋人 小川洋子 2005年 19.乳と卵 川上未映子 2008年
「一級の人間は、自分の身体に対する 認識が高く、礼儀を持っている」と書いたのは、 整体研究家の三枝誠さんだった(『整体的生活術』)。 例に出されていたのは正岡子規だが、 その他に思い浮かべたのが吉行淳之介だった。 そんなときに、書店で見つけた本。 吉行淳之介 よしゆき・じゅんのすけ(1924年4月13日 - 1994年7月26日)小説家。岡山県岡山市生まれ、東京育ち。父は詩人の吉行エイスケ。麻布中学、旧制静岡高校(現・静岡大学)を経て、東京帝国大学に入学。しかし、授業にはあまり出席せ
かといって塀の上でBは威張るわけではなく、Aに対する気遣いは忘れていません。地上と地面から離れた場所で、二人の関係は丁度具合よく保たれているのでした。このあと、ラストの雀の仔のエピソードまで、二人が遊ぶ場面は続いていきます。それがこの本のことだと気付いた後も、(ある程度は吉行淳之介の小説を読んでいるつもりでいた私は)素直に知らないと言い出せず、一人で大いに焦っていました。二人に気付かれぬ内に手に入れて、すぐにでも読まないことにはと、そればかりを考えていました。Copyright© 超書評ブログ.com , 2014 All Rights Reserved.『JR上野駅公園口』柳 美里 河出文庫 2017年2月20日初版JR上野駅公園口 (河出文庫1954年、彼は『驟雨』という作品で芥川賞を受賞します。当時、吉行淳之介を含め遠藤周作、安岡章太郎といった同世代の作家たちは「第三の新人」と呼ばれ、本業の「純文学」は言うに及ばず、それとは別に、多くのユーモア小説やエッセイなどでも名を馳せ、その軽妙洒脱な語り口は大勢の読者を魅了したものです。素人の本好きおっさんによる、書評という名の読書感想文ブログ 誤字・脱字・乱文・あらすじネタバレ御免短い話で、私は何度も読み返すのですが、その度に胸が詰まって泣きそうになります。Aの気遣い、Bの気おくれと気負いが痛いほど伝わってくるからです。そして、少年の心を切なく揺らす原因が決して彼ら自身にはなく、生まれる前からの否応のない運命だと(わが身に代えて)感じるからです。『ひざまずいて足をお舐め』山田 詠美 新潮文庫 1991年11月25日発行ひざまずいて足をお舐めAはBを喜ばせようと、知り合いの犬屋(多くの犬を預かり世話をしている家)へ行こうと誘いますが、Bは一度は行くと言いながら、結局は行くのを断ってしまいます。犬屋へ行った翌日も、二人はいつも遊び場にしている塀の上で遊びます。地面から離れた場所では、今度はBが勇者になります。AはBの離れ業に心から感嘆し、BもAに対して余計な遠慮は一切しません。『熊金家のひとり娘』まさき としか 幻冬舎文庫 2019年4月10日初版熊金家のひとり娘彼らが書いたその手の小説やエッセイ(主に文庫であったように思います)が書店の棚を埋め尽くすように並んでいた様子は、私が小説を読み出した時期と重なり、今でも鮮明な記憶として残っています。『森は知っている』吉田 修一 幻冬舎文庫 2017年8月5日初版森は知っている (幻冬舎文初版本は、1975年の発行。今から39年も前のことになります。さすがに私もまだよちよち歩きで、京都の古本屋で見つけたのは大学生になってからのことです。AにとってBは、ほとんど唯一の友達と呼べる存在でした。Bの家は路地の中の貧民窟にある棟割長屋。一方、Aの家は商店街と屋敷町に挟まれた坂の途中にあります。Aは、子供心にBの家が貧乏なことをちゃんと分かっています。あるとき、ごく親しい二人の友人が何気なくこんなやり取りをしていました。「吉行淳之介の子供の領分は良いな」「ああ、あれは確かに良いね」- 最初、私は二人が何のことを言っているのかさっぱり分かりませんでした。祖母に話すと「それはきっと電車賃がないからじゃないのか。電車賃のことは心配しなくていい、そう言って誘ってごらん」と諭されて、Aは祖母が正しいと思います。『枯れ蔵』永井 するみ 新潮社 1997年1月20日発行枯れ蔵 (新潮ミステリー倶楽部)『勁草』黒川 博行 徳間書店 2015年6月30日初版勁草 (文芸書) 作品 「驟雨」「原色の街」「すれすれ」「闇の中の祝祭」「砂の上の植物群」「不意の出来事」「暗室」「鞄の中身」「童謡」「「夕暮れまで」「目玉」他多数『デルタの悲劇/追悼・浦賀和宏』浦賀 和宏 角川文庫 2020年7月『ルビンの壺が割れた』宿野 かほる 新潮社 2017年8月20日発行ルビンの壺が割れたこ犬屋で出された塩センベイと白い飴のやり取り。黒い犬が走り寄ってきた時のこと。帰りの電車の切符をBに差し出した時のこと -加えて、吉行淳之介は群を抜いて優男でした。女性によくモテたのです。どこか退廃的で物憂げな雰囲気を漂わせ、知的であるのに、そんな自分を隠すかのような、都会の空気を一身に纏ったその風貌がやたら格好良く見えたものです。1924年−1994年 岡山県岡山市出身。死没時は東京都中央区。『きみのためのバラ』池澤 夏樹 新潮文庫 2010年9月1日発行きみのためのバラ (新潮文庫そんなイメージからは遙かに遠いのですが、子供を扱った小説もしっかり書いており、この『子供の領分』という本はその代表的な(少年文学)作品であり、私の最も好きな吉行作品でもあります。参考:番町書房版と集英社文庫版とは掲載作品の数と並びが異なっています。番町書房では12編、集英社文庫は3編少なく9編の構成です。集英社文庫版では作品の並びも替えられており、主人公の成長に従って読み進めることができます。『あなたならどうする』井上 荒野 文春文庫 2020年7月10日第1『業苦 忌まわ昔 (弐)』岩井 志麻子 角川ホラー文庫 2020年6『仮面病棟』知念 実希人 実業之日本社文庫 2014年12月15日初版仮面病棟 (実業之日本『影踏み』横山 秀夫 祥伝社 2003年11月20日初版影踏み (祥伝社文庫)三月二 『娼婦の部屋・不意の出来事 (新潮文庫)』(吉行淳之介) のみんなのレビュー・感想ページです(17レビュー)。作品紹介・あらすじ:男に翻弄され、ほかの職業についてもすぐに元の娼婦に戻ってきてしまう女に対する「私」の奇妙な執着を描いた『娼婦の部屋』。