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テレワークや在宅勤務に切り替えたとき、残業が減少することが予想される場合には、もとも支払っていた固定残業代の減額を検討する会社もあるのではないでしょうか。しかし、固定残業代の減額もまた「不利益変更」にあたるため、減額するためには「変更の合理性」が必要です。 テレワークであっても、在宅勤務であれば、違っているのは勤務場所が会社ではなく自宅であるという点だけになります。基本的には、会社で働く場合と同じように法定労働時間を適用するため、労働時間は算定しやすい傾向です。ただし、法定労働時間の取り扱いについて企業は注意が必要となります。みなし時間による労働では、何時間働いても算定される労働時間に変わりはありません。そのため、なおさら法定労働時間の原則ルールに反するような、週40時間、1日8時間を超える労働を強制しないように十分気を付けましょう。テレワークは労働基準法の適用内であるため、万が一、テレワークの労働に関するトラブルが発生した場合には、就業規則をもとにして企業の対応の良し悪しが判断されるケースが多くなっています。このため、トラブル発生時にきちんと労働者の同意のもとで正しい手順を踏んで行ったことを証明するためにも、労働者と決定した内容についてはすべて就業規則に盛り込んでおくようにしましょう。さらに、その際には、所轄の労働基準監督署に届け出ておくようにしておきます。そもそも、常時10人以上の労働者を使用している場合には、就業規則を作成し、届け出をすることは必須です。新規で作成したときだけではなく、内容を変更したときにも届け出なければいけません。ただし、1年単位の変形労働時間制を実行する場合には、労使協定の締結と所轄の労働基準監督署長への届け出が必須となるため注意しましょう。一方、フレックスタイム制とは、労働者が個々で出社時間や退社時間を決めることができるシステムをいいます。そのときどきの労働者の生活スタイルや仕事の状況に応じて柔軟に対応できるため、効率的です。国内の生産年齢人口が減少傾向にあり、人材不足が懸念されるなか、出産や育児、介護など個人や家庭のさまざまな事情にも対応しやすい働き方として、テレワークに注目が集まっています。テレワークは働く人にとってメリットがある働き方であるだけではなく、企業にとっても人材不足を改善するためのひとつの方策です。地方に拠点をおく企業でも優秀な人材を採用できる可能性が高まる点も魅力となっています。しかし、経営者にとっては、新たな働き方を始めるにあたりトラブルが発生するリスクもあります。テレワークにおけるリスクへの対策として特に難しいものが、労働時間の管理です。正しく管理しないと、残業代の未払いなど思わぬトラブルへと発展してしまうこともあります。そこで、この記事では、テレワークを導入する際に企業が心得ておきたい注意点について解説します。加えて、所轄の労働基準監督署でも相談することはできます。全国の労働基準監督署には、中小企業の事業主向けに「労働時間相談・支援コーナー」が設置されていて、窓口でも電話でも問い合わせることは可能です。そのほかにも、社会保険労務士や弁護士が顧問としているのであれば、会社の事情も詳しく理解しているため相談してみるとよいでしょう。テレワークの導入は、企業イメージアップにもつながる労働者の働きやすさの改善や業務の効率化などさまざまなメリットを得ることができます。しかし、同時に残業代の未払いといったトラブルが生じるリスクもあるため注意が必要です。トラブルを回避するためには、事前にしっかりと準備しておくことが必須となります。導入するときは当然のこと、導入後もテレワーク関連の情報を常に集めておくことは大事です。この記事で紹介したほかにも、テレワークに関するさまざまな情報を知るために、定期購読できるメルマガに登録しておくとよいでしょう。加えて、テレワークにおける労働時間については、「事業場外のみなし労働時間制」が適用できるようになる点も把握しておきたいポイントとなります。「事業場外のみなし労働時間制」のみなし労働とは、労働時間を正確に把握できない働き方をしている場合に、実労働時間ではなく、みなし時間によって労働時間を算定するシステムです。みなし時間は労働者それぞれの裁量に任せますが、日々自由に申請するわけではなく、事前に取り決めをしていることがポイントとなります。労働者の日々の気分で労働時間を決めるような体制にはしません。具体例としては、経営者と労働者との間で1日の労働時間を8時間と決めた場合であれば、実際の労働時間が5時間と少なくても10時間と多かったとしても、8時間とみなします。取り決めをしている時間と比べて、実労働時間が少なくても給与を減らすことはなく、多くても残業代は発生しません。実労働時間を把握できないテレワークの残業代や休日出勤などの手当の算出については、必要とみなされる時間で判断します。平均的かつ客観的に見て、業務遂行にどれくらい時間を要するかがポイントです。残業などをするような所定労働時間外としてみなされる労働時間数を労使協定で事前に決めておくことも方法となります。また、会社で働くときに選べるさまざまな働き方も労働者の選択肢のひとつとして、上手に活用することが大切です。たとえば、テレワークでも変形労働時間制やフレックスタイム制を導入することはできます。変形労働時間制とは1カ月や1年単位で労働時間を調整できるシステムです。一定の期間の平均労働時間で判断し、勤務時間が増加する時期があっても時間外労働として取り扱う必要がありません。このため、繁忙期や閑散期などがあって労働時間に波がある仕事や、長期休暇を取得できる会社などにとっては、特に導入は有効です。一方、テレワーク全体に対するルール決めであれば就業規則に内容を定めておけば問題ありませんが、労働者個人に対して個別にルールを設ける場合もあります。そのようなケースでは、労働者との間に別途契約書を交わしておくことが必要です。特に、就業規則にも定められていない内容だと、労働者の労働条件に対する同意の有無について後々トラブルにもなりかねません。お互いに承諾した労働条件については、詳細な部分まできちんと契約書に盛り込んでおくことが重要となります。ただし、労働者が社内で働かず、時間についてもいつ働くかを個々で自由に選択できるようになると、経営側はそれぞれの労働者の実労働時間を正確に管理することは難しくなります。従来の管理方法のままでは対応しきれないため、テレワークを導入する場合には労働時間の管理方法を変えなければいけません。たとえば、労働者が実際に働いている時間や業務の進捗状況については、アプリなどのツールを活用して管理している企業も増えています。さらに、ツールの活用がない場合でも、いつ勤務しているかがわかるように始業と終業の時間について報告するよう義務付けるなどのルール作りは必須です。次に、1日の労働時間についても労働者と話し合ってきちんと明確化しておくことは必須です。ただし、テレワークの場合でも法定労働時間は適用となるため、8時間を超える労働時間の設定はできません。そもそも、労働基準法では、使用者は従業員の労働時間をきちんと把握することが定められています。加えて、業務の進捗状況によっては、残業や休日勤務を要する可能性があることも留意しておかなければいけません。そのような際には、申請することを必須とし、その申請方法などについても明示しておくことが大切です。申請せずに無許可で残業や休日出勤をした場合には、手当ての請求があっても無効にするなど、細かい点まで具体的に表記しておくようにしましょう。また、在宅勤務を始める際に、労働者が通信設備を自宅にすでに設置している場合もあります。そのようなケースでは、労働者が通信設備にかかわる費用を負担していることが多い傾向です。ただし、企業のなかには、かかった費用の一部については企業が負担するという考えを持っているところもあります。そのほか、文具類については、必要となったときに立て替えて購入しておく労働者もいるため、精算方法などを決めておくようにしましょう。加えて、水道光熱費についても費用負担のルールを明確にしておくことは重要です。サテライトオフィスであればそもそも企業が全額負担することになりますが、在宅の場合だとプライベートと仕事で使用した分の境目が曖昧になりやすいものです。そのため、仕事で使用した費用における企業と労働者の負担を割合で分けるか、手当てとして盛り込むかを決めておくことは、トラブルを防ぐための対策となります。初めてテレワークを導入するときだけではなく、実際に導入し始めてみたら感じる疑問もあるものです。テレワークについて不明な点や困ったことがあったときには、「テレワーク相談センター(https://www.tw-sodan.jp)」に相談してみるとよいでしょう。テレワーク相談センターは厚生労働省の委託事業として設置されているもので、無料で利用できる施設です。テレワーク導入における助成金の申請手続きについても問い合わせることができます。さらに、企業への訪問相談も行っているため、必要に応じて利用すると便利です。テレワークを導入する場合に、みなし労働による賃金トラブルを防ぐためのポイントは3つです。まず、1つ目として、テレワークでは働く時間を労働者の自主性に任せることになるため、後々のトラブルを防ぐためにも事前のルールを作っておくことは大切なポイントとなります。基本となる労働時間は、導入する前に労働者と明確に決めておくことが重要です。さらに、残業や休日労働に関するルールもきちんと定めておきましょう。そもそも、テレワークとは、遠方を意味する「tele」と、働くことを意味する「work」が組み合わさってできた言葉です。情報通信技術(ICT)を駆使することにより、場所にも時間にも制約されずに働くことを可能とした方法をいいます。たとえば、育児や介護で家を一日空けることが難しい人が、自宅でインターネットを利用して仕事をするといった働き方です。また、スマートフォンなどを活用してカフェで仕事をするような、場所を限定させない自由さをもった働き方も可能とします。また、2つ目として、経費についても留意しなければいけません。在宅勤務の場合、労働者が自宅という別の職場を持つことになります。そのため、業務に必要となるものを会社とは別に用意しなければいけません。在宅勤務で業務に関する経費が発生した場合の企業負担の割合などについても事前に話し合って決めておくと安心です。さらに、3つ目として、テレワークを導入する前に労働者と決めた労働条件などの内容については就業規則にきちんと盛り込んでおくことも必須となります。自宅で仕事をする際には、労働者が各自で業務に必要となるものを購入することもあります。テレワークをするにあたり業務で必要とみなされる経費は一般的に、通信機器類の購入費、通信設備の設置費用、通信費、文具購入費です。また、自宅で仕事をすれば必然的に使用することになる水道光熱費なども業務に必要な費用とされます。そして、これらの費用については経費とされ、企業負担が原則です。パソコン、周辺機器、携帯電話、スマートフォンなどの通信機器については、労働者があらたに購入する場合もありますが、企業が貸与するケースが多くなっています。企業から労働者に貸与する場合でも、購入費や貸し出し費用などを労働者に請求することは通常ありません。柔軟な働き方を認めるテレワークですが、通常の働き方と同じように、管理をする際の基本となるのは法定労働時間です。そもそも、法定労働時間とは労働基準法により定められている労働時間の上限をいいます。法定内とされる労働時間は、原則1週間に40時間まで、1日8時間までが決まりです。労働者の雇用の際に交わした契約書に、法定労働時間の上限以上となる労働時間が明記してあってもそれは無効となります。あくまでも、労働基準法にある法定労働時間が優先で、それを超える時間の労働があった場合には原則すべて残業の扱いです。テレワークを導入する際には「事業場外のみなし労働時間制」が適用され、先で説明したとおり、原則として実労働時間ではなく、経営者と労働者に間で取り決めた時間により労働賃金を算定します。このため、基本的には残業代や休日出勤手当を支給する義務はなく、事前に取り決めたみなし時間に準じた賃金だけを労働者に支払うことが通常です。ただし、例外として、残業代や休日出勤手当を支払わなければいけないケースもあります。通常の勤務外の業務を任せる場合です。たとえば、所定時間ではこなせないような量の仕事を指示し、実際に残業となってしまった場合には、残業代を支払う必要が生じます。また、労働者から事前に残業や休日出勤の申請があり、業務遂行のためには所定時間外に勤務する必要があると承諾されている労働に対しても支払わなければいけません。労働時間やルールを決める際には、全労働時間のうち、どのくらいの割合をテレワークで働くかについてはじめに決めておくようにしましょう。働く割合を曖昧なままにしておくと、個々の労働者の働き方が自由になりすぎて、かえって業務が非効率になってしまったり、経営者側が管理しにくくなってしまったりするからです。また、労働基準法でも、経営者は労働契約を締結する際に、労働条件のひとつとして就業場所を明示する必要があります。労働者の日々の就業場所を経営者が把握するためには、たとえば、在宅勤務であれば、自宅で働く日の上限を明確にしておかなければいけません。1週間あるいは1カ月のうち、在宅勤務をする日の上限は何日にするか、また、完全にテレワーク勤務とするかなどをしっかりと決めておくようにしましょう。
テレワークや在宅勤務に切り替えたとき、残業が減少することが予想される場合には、もとも支払っていた固定残業代の減額を検討する会社もあるのではないでしょうか。しかし、固定残業代の減額もまた「不利益変更」にあたるため、減額するためには「変更の合理性」が必要です。 テレワークであっても、在宅勤務であれば、違っているのは勤務場所が会社ではなく自宅であるという点だけになります。基本的には、会社で働く場合と同じように法定労働時間を適用するため、労働時間は算定しやすい傾向です。ただし、法定労働時間の取り扱いについて企業は注意が必要となります。みなし時間による労働では、何時間働いても算定される労働時間に変わりはありません。そのため、なおさら法定労働時間の原則ルールに反するような、週40時間、1日8時間を超える労働を強制しないように十分気を付けましょう。テレワークは労働基準法の適用内であるため、万が一、テレワークの労働に関するトラブルが発生した場合には、就業規則をもとにして企業の対応の良し悪しが判断されるケースが多くなっています。このため、トラブル発生時にきちんと労働者の同意のもとで正しい手順を踏んで行ったことを証明するためにも、労働者と決定した内容についてはすべて就業規則に盛り込んでおくようにしましょう。さらに、その際には、所轄の労働基準監督署に届け出ておくようにしておきます。そもそも、常時10人以上の労働者を使用している場合には、就業規則を作成し、届け出をすることは必須です。新規で作成したときだけではなく、内容を変更したときにも届け出なければいけません。ただし、1年単位の変形労働時間制を実行する場合には、労使協定の締結と所轄の労働基準監督署長への届け出が必須となるため注意しましょう。一方、フレックスタイム制とは、労働者が個々で出社時間や退社時間を決めることができるシステムをいいます。そのときどきの労働者の生活スタイルや仕事の状況に応じて柔軟に対応できるため、効率的です。国内の生産年齢人口が減少傾向にあり、人材不足が懸念されるなか、出産や育児、介護など個人や家庭のさまざまな事情にも対応しやすい働き方として、テレワークに注目が集まっています。テレワークは働く人にとってメリットがある働き方であるだけではなく、企業にとっても人材不足を改善するためのひとつの方策です。地方に拠点をおく企業でも優秀な人材を採用できる可能性が高まる点も魅力となっています。しかし、経営者にとっては、新たな働き方を始めるにあたりトラブルが発生するリスクもあります。テレワークにおけるリスクへの対策として特に難しいものが、労働時間の管理です。正しく管理しないと、残業代の未払いなど思わぬトラブルへと発展してしまうこともあります。そこで、この記事では、テレワークを導入する際に企業が心得ておきたい注意点について解説します。加えて、所轄の労働基準監督署でも相談することはできます。全国の労働基準監督署には、中小企業の事業主向けに「労働時間相談・支援コーナー」が設置されていて、窓口でも電話でも問い合わせることは可能です。そのほかにも、社会保険労務士や弁護士が顧問としているのであれば、会社の事情も詳しく理解しているため相談してみるとよいでしょう。テレワークの導入は、企業イメージアップにもつながる労働者の働きやすさの改善や業務の効率化などさまざまなメリットを得ることができます。しかし、同時に残業代の未払いといったトラブルが生じるリスクもあるため注意が必要です。トラブルを回避するためには、事前にしっかりと準備しておくことが必須となります。導入するときは当然のこと、導入後もテレワーク関連の情報を常に集めておくことは大事です。この記事で紹介したほかにも、テレワークに関するさまざまな情報を知るために、定期購読できるメルマガに登録しておくとよいでしょう。加えて、テレワークにおける労働時間については、「事業場外のみなし労働時間制」が適用できるようになる点も把握しておきたいポイントとなります。「事業場外のみなし労働時間制」のみなし労働とは、労働時間を正確に把握できない働き方をしている場合に、実労働時間ではなく、みなし時間によって労働時間を算定するシステムです。みなし時間は労働者それぞれの裁量に任せますが、日々自由に申請するわけではなく、事前に取り決めをしていることがポイントとなります。労働者の日々の気分で労働時間を決めるような体制にはしません。具体例としては、経営者と労働者との間で1日の労働時間を8時間と決めた場合であれば、実際の労働時間が5時間と少なくても10時間と多かったとしても、8時間とみなします。取り決めをしている時間と比べて、実労働時間が少なくても給与を減らすことはなく、多くても残業代は発生しません。実労働時間を把握できないテレワークの残業代や休日出勤などの手当の算出については、必要とみなされる時間で判断します。平均的かつ客観的に見て、業務遂行にどれくらい時間を要するかがポイントです。残業などをするような所定労働時間外としてみなされる労働時間数を労使協定で事前に決めておくことも方法となります。また、会社で働くときに選べるさまざまな働き方も労働者の選択肢のひとつとして、上手に活用することが大切です。たとえば、テレワークでも変形労働時間制やフレックスタイム制を導入することはできます。変形労働時間制とは1カ月や1年単位で労働時間を調整できるシステムです。一定の期間の平均労働時間で判断し、勤務時間が増加する時期があっても時間外労働として取り扱う必要がありません。このため、繁忙期や閑散期などがあって労働時間に波がある仕事や、長期休暇を取得できる会社などにとっては、特に導入は有効です。一方、テレワーク全体に対するルール決めであれば就業規則に内容を定めておけば問題ありませんが、労働者個人に対して個別にルールを設ける場合もあります。そのようなケースでは、労働者との間に別途契約書を交わしておくことが必要です。特に、就業規則にも定められていない内容だと、労働者の労働条件に対する同意の有無について後々トラブルにもなりかねません。お互いに承諾した労働条件については、詳細な部分まできちんと契約書に盛り込んでおくことが重要となります。ただし、労働者が社内で働かず、時間についてもいつ働くかを個々で自由に選択できるようになると、経営側はそれぞれの労働者の実労働時間を正確に管理することは難しくなります。従来の管理方法のままでは対応しきれないため、テレワークを導入する場合には労働時間の管理方法を変えなければいけません。たとえば、労働者が実際に働いている時間や業務の進捗状況については、アプリなどのツールを活用して管理している企業も増えています。さらに、ツールの活用がない場合でも、いつ勤務しているかがわかるように始業と終業の時間について報告するよう義務付けるなどのルール作りは必須です。次に、1日の労働時間についても労働者と話し合ってきちんと明確化しておくことは必須です。ただし、テレワークの場合でも法定労働時間は適用となるため、8時間を超える労働時間の設定はできません。そもそも、労働基準法では、使用者は従業員の労働時間をきちんと把握することが定められています。加えて、業務の進捗状況によっては、残業や休日勤務を要する可能性があることも留意しておかなければいけません。そのような際には、申請することを必須とし、その申請方法などについても明示しておくことが大切です。申請せずに無許可で残業や休日出勤をした場合には、手当ての請求があっても無効にするなど、細かい点まで具体的に表記しておくようにしましょう。また、在宅勤務を始める際に、労働者が通信設備を自宅にすでに設置している場合もあります。そのようなケースでは、労働者が通信設備にかかわる費用を負担していることが多い傾向です。ただし、企業のなかには、かかった費用の一部については企業が負担するという考えを持っているところもあります。そのほか、文具類については、必要となったときに立て替えて購入しておく労働者もいるため、精算方法などを決めておくようにしましょう。加えて、水道光熱費についても費用負担のルールを明確にしておくことは重要です。サテライトオフィスであればそもそも企業が全額負担することになりますが、在宅の場合だとプライベートと仕事で使用した分の境目が曖昧になりやすいものです。そのため、仕事で使用した費用における企業と労働者の負担を割合で分けるか、手当てとして盛り込むかを決めておくことは、トラブルを防ぐための対策となります。初めてテレワークを導入するときだけではなく、実際に導入し始めてみたら感じる疑問もあるものです。テレワークについて不明な点や困ったことがあったときには、「テレワーク相談センター(https://www.tw-sodan.jp)」に相談してみるとよいでしょう。テレワーク相談センターは厚生労働省の委託事業として設置されているもので、無料で利用できる施設です。テレワーク導入における助成金の申請手続きについても問い合わせることができます。さらに、企業への訪問相談も行っているため、必要に応じて利用すると便利です。テレワークを導入する場合に、みなし労働による賃金トラブルを防ぐためのポイントは3つです。まず、1つ目として、テレワークでは働く時間を労働者の自主性に任せることになるため、後々のトラブルを防ぐためにも事前のルールを作っておくことは大切なポイントとなります。基本となる労働時間は、導入する前に労働者と明確に決めておくことが重要です。さらに、残業や休日労働に関するルールもきちんと定めておきましょう。そもそも、テレワークとは、遠方を意味する「tele」と、働くことを意味する「work」が組み合わさってできた言葉です。情報通信技術(ICT)を駆使することにより、場所にも時間にも制約されずに働くことを可能とした方法をいいます。たとえば、育児や介護で家を一日空けることが難しい人が、自宅でインターネットを利用して仕事をするといった働き方です。また、スマートフォンなどを活用してカフェで仕事をするような、場所を限定させない自由さをもった働き方も可能とします。また、2つ目として、経費についても留意しなければいけません。在宅勤務の場合、労働者が自宅という別の職場を持つことになります。そのため、業務に必要となるものを会社とは別に用意しなければいけません。在宅勤務で業務に関する経費が発生した場合の企業負担の割合などについても事前に話し合って決めておくと安心です。さらに、3つ目として、テレワークを導入する前に労働者と決めた労働条件などの内容については就業規則にきちんと盛り込んでおくことも必須となります。自宅で仕事をする際には、労働者が各自で業務に必要となるものを購入することもあります。テレワークをするにあたり業務で必要とみなされる経費は一般的に、通信機器類の購入費、通信設備の設置費用、通信費、文具購入費です。また、自宅で仕事をすれば必然的に使用することになる水道光熱費なども業務に必要な費用とされます。そして、これらの費用については経費とされ、企業負担が原則です。パソコン、周辺機器、携帯電話、スマートフォンなどの通信機器については、労働者があらたに購入する場合もありますが、企業が貸与するケースが多くなっています。企業から労働者に貸与する場合でも、購入費や貸し出し費用などを労働者に請求することは通常ありません。柔軟な働き方を認めるテレワークですが、通常の働き方と同じように、管理をする際の基本となるのは法定労働時間です。そもそも、法定労働時間とは労働基準法により定められている労働時間の上限をいいます。法定内とされる労働時間は、原則1週間に40時間まで、1日8時間までが決まりです。労働者の雇用の際に交わした契約書に、法定労働時間の上限以上となる労働時間が明記してあってもそれは無効となります。あくまでも、労働基準法にある法定労働時間が優先で、それを超える時間の労働があった場合には原則すべて残業の扱いです。テレワークを導入する際には「事業場外のみなし労働時間制」が適用され、先で説明したとおり、原則として実労働時間ではなく、経営者と労働者に間で取り決めた時間により労働賃金を算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