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製造業についてはアメリカに比べると生産性は低いもののそれほど差は大きくないのです。ところが非製造業ではアメリカの 1/3 程度の生産性であるとのこと。 でも、なぜサービス業の労働生産性がここまで低いのでしょか? もちろんインフレが良くてデフレが悪いということは一概には言えませんが、デフレが異常な長期間続いてきた我が国においては、モノやサービスの値段を値上げすることができず、企業が売上の確保に苦労をしていることが、労働生産性の低さに影響を与えている原因の1つであることは間違いないでしょう。各企業が取り組めることもあれば、国全体で取り組まなければならないこともありますが、これから高齢化が進み働き手が減っていく我が国において、労働生産性の向上を実現させることができなければ、死活問題になると私は危機感を持っています。しかしながら、我が国では「相談までは無料であるべき」とか「目に見えないサービスにはお金を請求しづらい」という風潮がまだまだあります。第2は、過度の無料サービスによる労働生産性の押し下げが考えられます。これに対し、日本では、東京では最低賃金が958円まで上がりましたが、まだまだ国全体(全国加重平均 848円)では米国よりも低い水準にあり、また、サービス残業を含め長時間労働を厭わない文化も根強く残っています。第3は、我が国のIT投資の遅れが、労働生産性の向上の足を引っ張っているのではないかということです。マクドナルドの店員が「ビッグマックを1つ売る」という同じことを行うにしても、その結果得られる売上は1.5倍も違っていて、この差も労働生産性に影響を与えています。そのような環境の中でも、人海作戦や長時間労働で辻褄を合わせようとする企業を減らしていかなければ、労働生産性の計算式の分母である総労働時間は改善しません。国を挙げてのさらなる啓蒙や、長時間労働・サービス残業への厳しい取り締まりが求められるでしょう。過剰なサービスを求めすぎたり、目先の利益だけを求めたりするのではなく、私たち日本人1人1人が長期的なビジョンを持って、働き手として、場合によっては消費者として、労働生産性の向上に取り組んでいかなければならないのではないでしょうか。そのため、目に見えない「情報」や「サービス」を有料化させる仕組みやビジネスモデルを、我が国でも機能させていかなければならないのではないでしょうか。個別企業を見ると、我が国でも積極的にIT投資をして労働生産性を高めている企業は少なくありませんが、国全体として、これまで以上にIT投資を促進していかなければならないでしょう。ITによる顧客情報の管理や分析で効率的な営業活動を展開したり、「フィンテック」や「HRテック」でバックオフィスの効率化を実現したりと、ITによる業務の効率化は米国のほうが進んでいるようです。日常生活を思い浮かべても、「秒単位の正確なダイヤで鉄道が運転される」「イチゴが整然と向きを揃えてパック詰めされて売られている」「有人のガソリンスタンドでは給油の際に窓を拭いたり車内のゴミを回収してくれる」といったような風景は、私たち日本人にとっては当然という感覚です。労働生産性の計算式の分子である付加価値の源泉は「売上」です。売上を増やすことも労働生産性を高める処方箋の1つです。ここまで、我が国の労働生産性が米国の半分しかない理由を私なりに分析してみましたが、どれか1つの理由が悪影響を及ぼしているというよりも、様々な要因が絡み合って、現状につながっているのだと思います。総務省などの統計によると、1990年代には日米のIT投資額に大きな差はなかったものの、2000年代に入るとその差が倍以上に開き、現在はさらに広がりつつあるという傾向にあるようです。先日、この内容に関する話題がテレビで取り上げられ、SNS等で様々な声が上がりました。たとえば、物価の国際比較の目安となる「ビッグマック指数」で比較しても、2018年現在、米国は5.28ドル(585円)に対し、日本は380円です。第1は、過剰品質による労働生産性のロスということが考えられます。私たちが快適な生活を送ることができるのは素晴らしいことですが、このような丁寧で正確なサービスを行うためには、人手をかけたり、教育訓練を行ったりすることが必要ですから、過剰すぎるサービスが、我が国から労働生産性を奪っているという見方をすることもできるのではないでしょうか。米国の最低賃金は州によって様々ですが、ニューヨーク、カリフォルニア、ワシントンなどの都市部では既に時間当たり10ドルを超え、日本円にすれば1,000円以上です。したがって、米国の経営者は日本以上に少ない人員で効率的に仕事を回すことを考えなければならない動機があります。また、サービス残業は言うまでもなく、長時間労働を美徳とする文化も米国にはありません。そこで、何故これほどまでに、サービス業における労働生産性の差が生じているのかを、私なりに分析しました。そこから得られた5つの考察を述べてみたいと思います。しかしながら、我が国ではデフレが続き、モノやサービスの値段をなかなか上げることができない状況が続いています。「おもてなし」という言葉に代表されるよう、我が国のサービス業の「質」の高さは世界的にも評価されています。大量の手書き作業や、転記ミスのチェック、役所へ出向くことも、窓口で並ぶことも、もう必要ありません。第3のIT投資の遅れの項目で述べたことの裏返しになりますが、最新のIT技術を導入すれば効率化や自動化できることを人手をかけて人海戦術で行っていると、労働生産性の計算式の分母である総労働時間が過大になってしまい、その結果として労働生産性は低くなります。従業員からの情報収集にはじまり、面倒な手続き書類の自動作成、役所へのWeb申請も可能です。アルバイト人材をはじめ、多くの入退社手続きが発生する飲食業界は、その管理も煩雑。特に多くの業態や店舗を持ちチェーン展開する会社では、管理が分散してしまうなど、より大きな課題を抱えます。この飲食業を営む企業において、SmartHRを導入した結果、どのような変化が訪れたのかに迫ります。例えば、米国では、弁護士・会計士・ファイナンシャルプランナーといった専門家に相談したら、特段の成果物を受け取る場合ではなくとも、相談自体に報酬を支払うというのが当然の文化です。とはいえ、上記統計資料は、あくまで数字だけの比較であり、「その理由」についてまでは言及がなされていません。「モノ」が中心であった20世紀まではそれでも良かったのかもしれませんが、21世紀は「モノ」以上に、「情報」や「サービス」が重要な時代になっています。人海戦術の営業部隊、タイムカードを手計算で集計するような非効率なバックオフィス、データ検索ができる紙の書類をひっくり返す日々は、いずれも労働生産性を大きく低下させます。 日本では、サービス業における労働生産性が低いと指摘されています。労働生産性とは、「労働者1人あたり」もしくは「1時間あたり」に得られる成果について、数値化したものを指します。 労働生産性の向上は、企業が効率良く利益を生み出すために重要な要素です。
製造業についてはアメリカに比べると生産性は低いもののそれほど差は大きくないのです。ところが非製造業ではアメリカの 1/3 程度の生産性であるとのこと。 でも、なぜサービス業の労働生産性がここまで低いのでしょか? もちろんインフレが良くてデフレが悪いということは一概には言えませんが、デフレが異常な長期間続いてきた我が国においては、モノやサービスの値段を値上げすることができず、企業が売上の確保に苦労をしていることが、労働生産性の低さに影響を与えている原因の1つであることは間違いないでしょう。各企業が取り組めることもあれば、国全体で取り組まなければならないこともありますが、これから高齢化が進み働き手が減っていく我が国において、労働生産性の向上を実現させることができなければ、死活問題になると私は危機感を持っています。しかしながら、我が国では「相談までは無料であるべき」とか「目に見えないサービスにはお金を請求しづらい」という風潮がまだまだあります。第2は、過度の無料サービスによる労働生産性の押し下げが考えられます。これに対し、日本では、東京では最低賃金が958円まで上がりましたが、まだまだ国全体(全国加重平均 848円)では米国よりも低い水準にあり、また、サービス残業を含め長時間労働を厭わない文化も根強く残っています。第3は、我が国のIT投資の遅れが、労働生産性の向上の足を引っ張っているのではないかということです。マクドナルドの店員が「ビッグマックを1つ売る」という同じことを行うにしても、その結果得られる売上は1.5倍も違っていて、この差も労働生産性に影響を与えています。そのような環境の中でも、人海作戦や長時間労働で辻褄を合わせようとする企業を減らしていかなければ、労働生産性の計算式の分母である総労働時間は改善しません。国を挙げてのさらなる啓蒙や、長時間労働・サービス残業への厳しい取り締まりが求められるでしょう。過剰なサービスを求めすぎたり、目先の利益だけを求めたりするのではなく、私たち日本人1人1人が長期的なビジョンを持って、働き手として、場合によっては消費者として、労働生産性の向上に取り組んでいかなければならないのではないでしょうか。そのため、目に見えない「情報」や「サービス」を有料化させる仕組みやビジネスモデルを、我が国でも機能させていかなければならないのではないでしょうか。個別企業を見ると、我が国でも積極的にIT投資をして労働生産性を高めている企業は少なくありませんが、国全体として、これまで以上にIT投資を促進していかなければならないでしょう。ITによる顧客情報の管理や分析で効率的な営業活動を展開したり、「フィンテック」や「HRテック」でバックオフィスの効率化を実現したりと、ITによる業務の効率化は米国のほうが進んでいるようです。日常生活を思い浮かべても、「秒単位の正確なダイヤで鉄道が運転される」「イチゴが整然と向きを揃えてパック詰めされて売られている」「有人のガソリンスタンドでは給油の際に窓を拭いたり車内のゴミを回収してくれる」といったような風景は、私たち日本人にとっては当然という感覚です。労働生産性の計算式の分子である付加価値の源泉は「売上」です。売上を増やすことも労働生産性を高める処方箋の1つです。ここまで、我が国の労働生産性が米国の半分しかない理由を私なりに分析してみましたが、どれか1つの理由が悪影響を及ぼしているというよりも、様々な要因が絡み合って、現状につながっているのだと思います。総務省などの統計によると、1990年代には日米のIT投資額に大きな差はなかったものの、2000年代に入るとその差が倍以上に開き、現在はさらに広がりつつあるという傾向にあるようです。先日、この内容に関する話題がテレビで取り上げられ、SNS等で様々な声が上がりました。たとえば、物価の国際比較の目安となる「ビッグマック指数」で比較しても、2018年現在、米国は5.28ドル(585円)に対し、日本は380円です。第1は、過剰品質による労働生産性のロスということが考えられます。私たちが快適な生活を送ることができるのは素晴らしいことですが、このような丁寧で正確なサービスを行うためには、人手をかけたり、教育訓練を行ったりすることが必要ですから、過剰すぎるサービスが、我が国から労働生産性を奪っているという見方をすることもできるのではないでしょうか。米国の最低賃金は州によって様々ですが、ニューヨーク、カリフォルニア、ワシントンなどの都市部では既に時間当たり10ドルを超え、日本円にすれば1,000円以上です。したがって、米国の経営者は日本以上に少ない人員で効率的に仕事を回すことを考えなければならない動機があります。また、サービス残業は言うまでもなく、長時間労働を美徳とする文化も米国にはありません。そこで、何故これほどまでに、サービス業における労働生産性の差が生じているのかを、私なりに分析しました。そこから得られた5つの考察を述べてみたいと思います。しかしながら、我が国ではデフレが続き、モノやサービスの値段をなかなか上げることができない状況が続いています。「おもてなし」という言葉に代表されるよう、我が国のサービス業の「質」の高さは世界的にも評価されています。大量の手書き作業や、転記ミスのチェック、役所へ出向くことも、窓口で並ぶことも、もう必要ありません。第3のIT投資の遅れの項目で述べたことの裏返しになりますが、最新のIT技術を導入すれば効率化や自動化できることを人手をかけて人海戦術で行っていると、労働生産性の計算式の分母である総労働時間が過大になってしまい、その結果として労働生産性は低くなります。従業員からの情報収集にはじまり、面倒な手続き書類の自動作成、役所へのWeb申請も可能です。アルバイト人材をはじめ、多くの入退社手続きが発生する飲食業界は、その管理も煩雑。特に多くの業態や店舗を持ちチェーン展開する会社では、管理が分散してしまうなど、より大きな課題を抱えます。この飲食業を営む企業において、SmartHRを導入した結果、どのような変化が訪れたのかに迫ります。例えば、米国では、弁護士・会計士・ファイナンシャルプランナーといった専門家に相談したら、特段の成果物を受け取る場合ではなくとも、相談自体に報酬を支払うというのが当然の文化です。とはいえ、上記統計資料は、あくまで数字だけの比較であり、「その理由」についてまでは言及がなされていません。「モノ」が中心であった20世紀まではそれでも良かったのかもしれませんが、21世紀は「モノ」以上に、「情報」や「サービス」が重要な時代になっています。人海戦術の営業部隊、タイムカードを手計算で集計するような非効率なバックオフィス、データ検索ができる紙の書類をひっくり返す日々は、いずれも労働生産性を大きく低下させます。 日本では、サービス業における労働生産性が低いと指摘されています。労働生産性とは、「労働者1人あたり」もしくは「1時間あたり」に得られる成果について、数値化したものを指します。 労働生産性の向上は、企業が効率良く利益を生み出すために重要な要素です。