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働き方改革関連法の段階的施行が2019年4月から始まり、働き方改革推進への取り組みを本格的に考えている人事部門や経営企画部門の方は多いでしょう。そこで、働き方改革の代表的なテーマ別に、大手企業から中小企業まで、業種も異なる10社の先進的な成功事例をご紹介します。 筆者の考えをお伝えすると、それに加えて「従業員満足度」のための働き方改革がより重要視されると考えています。今後、これらの取り組みによって「働きたい」と考えている高齢者に就労環境を整えていく必要があります。同社では短時間勤務を「育児勤務」「介護勤務」に分け、さらに勤務体系をパターン分けすることで社員の多様なニーズに対応しています。特に労働時間については、2020年4月から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されました。時間外労働の上限は原則月45時間・年間360時間となり、繁忙期などの例外を含んでも、年間720時間・複数月平均80時間・月100時間未満に制限されます。では最後に、筆者が厳選した「働き方改革の好事例」をご紹介します。残業を減らし、有給取得のしやすい環境整備も整えた、でも蓋をあけてみると売上が芳しくない…それは、本質的な働き方改革の実施ができていないことが原因です。人手不足の今、これまでも月45時間・年間360時間と決まりがあったものの、上限を超えても行政指導のみで、罰則はありませんでした。近年、内閣が働き方改革を掲げた背景の一つには、労働人口の急激な減少が挙げられます。育児や介護にたずさわる社員を対象に、勤務時間を2~3時間、または30分単位で短縮する事例が多くあります。また、企業における再就職受入支援や高齢者の就労マッチング支援の強化なども含まれます。現在の取り組み事例では「育児休暇から復帰した女性社員」の利用が多いのですが、今後は「両親の介護を目的とした男性社員、管理職社員の利用」も視野に入れて取り組むのがおすすめです。この記事が、経営者・従業員が公私共に充実した生活を送るための助けになれば幸いです。通常の社内コミュニケーションはチャットを利用し、リモートワークへの不安解消のため、全国4箇所に「キャスタースクエア」というサテライトオフィスを設けることで、ほぼ全従業員のリモートワークを可能にしているそうです。そして残業や長時間労働だけでなく、転勤・配転の命令にも応じなければならない実情があります。同社では離職率が28%を記録した2005年以降、ワークライフバランスに配慮した制度や、社内コミュニケーションを活性化する施策を実施。その結果、育休を取得した社員の復帰率は100%となり、2019年の離職率は4%に減少しました。ここで「生産年齢人口の減少」の際に掲載した図を再度載せますが、生産年齢人口の減少に反比例し、老年人口は上昇していく予測で、2060年には約3,500万人前後となります。特にポイントになるのが「法改正による時間外労働の上限規制の導入」です。残業削減・長時間労働抑制は「生産性の向上」と切り離しては成立しません。1つめは、今市場に参加していない層に働いてもらうこと、2つめは出生率を改善することなので分かりやすいと思います。とはいえ「働き方改革の流れになかなか乗れずにいる…」と思っている経営者、企業担当者の方は少なくないのではないでしょうか。実は、この労働人口減少の傾向は、90年代からすでに始まっていました。しかし「残業要因を特定し、根本を取り除く」ことのない残業削減は、取り組み自体の形骸化を招きます。賃金が上がらず、節約志向が改善されない限りデフレからの脱却は難しくなっています。ぜひ、今回の企業事例も参考に「自社の働き方改革で注力するポイント」を決めてみることをおすすめします。「同一労働同一賃金」とは、「労働によって同じ付加価値をもたらす人には、同じ賃金を支払うべきだ」という考え方のことです。労働人口の減少が特にクローズアップされるようになったのは、景気がある程度上向いたことの裏返しとも言えます。働き方改革では、この待遇・働き方の格差を改善することを掲げ、具体的には下記の取り組みを行なっています。逆にこの注意点を押さえておけば、企業事例を参考に自社で取り組む際「現場に負荷だけがかかって、改善できずに終わる」というリスクを減らすことが出来ると思います。あくまで「多用かつ柔軟な働き方の見直しによって、労働生産性を高める」ことにフォーカスすべきだと考えます。育児休暇と同様に、働き方改革で多くみられる取り組みが「短時間勤務制度」です。「このままでは、国全体の生産力低下・国力の低下は避けられない」として、内閣が本格的に「働き方改革」に乗り出したのです。政府はこれを働き方改革の目玉として位置づけており、福利厚生・教育なども含めた改革のため「同一労働・同一待遇」という表現もできるでしょう。残業要因自体を改善しないと、従業員は残業を申告しにくい雰囲気の一方、持っている仕事が減らないという状態になるからです。同社ではいち早く働き方改革を行なっており、2006年より独自の育児休暇制度を導入しています。残業削減に取り組む一方で、企業としては売上の維持、利益の確保というミッションは無視できません。平成7(1995)年には8,000万人を超えていましたが、それ以降は減少の一途をたどっています。これらは実際に、筆者の周りで働き方改革に取り組む経営者の何人かがはまっている落とし穴でもあります。2019年には大企業を対象に施行されており、2020年4月には中小企業もその対象となります。日本社会における労働人口の慢性的な減少を受け、2016年9月に政府が「働き方改革実現推進室」を設置してから、労働環境改善のためのさまざまな取り組みが行われています。2019年に厚生労働省が主催する「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」において特別奨励賞を受賞した株式会社キャスター。たとえば、非正規のベテラン社員の給与が、同じ仕事をする新卒正社員よりも格段に安いといった場合、是正されるべき方向で検討されています。部署単位で働き方を見直すことは大切ですが、全社的に時間外労働の問題を解決することを忘れてはいけません。これを拒否すると、有期契約社員やパートとして働くことを余儀なくされることもあります。特に若年層は企業への帰属意識は薄くなり、雇用の流動化がますます強まると指摘されています。その目的は「将来的に非正規という枠組み自体をなくし、ライフステージにあわせた働き方を選べるようにする」ということです。ここまでの話をまとめると、労働力不足を解消し、一億総活躍社会を作るために日本の産業成長、また、企業の生存・発展のために、長い時間をかけて行う必要があるものです。2020年4月からは、すでに2019年から大企業で施行されている「働き方改革関連法」が、中小企業でも本格的に適用されました。働き方改革に取り組む上でも「現場主導」というと聞こえは良いのですが、中間管理職に「任せた」と丸投げすることは避けるべき事態です。政府は、物価上昇率2パーセントを目標に掲げていました。しかし日本では、諸外国に比べて長い間賃金が上がっていません。それは「働き方改革を精神論・形だけのもので終わらせない」ためのポイントと言っても良いでしょう。しかし多くの企業にとっては、バブル崩壊後の物的・人的資産の縮小期間と重なっていたため、緊急の課題と捉えられることはありませんでした。「働き方改革」で、どういった対策が検討・実施されているかもあわせてお伝えします。これは「日本再興戦略2016年」の一環として、柔軟な働き方を推進するために官民合同で導入されたものです。今の日本では、高齢者の約7割が「65歳を超えても働きたい」と考えていることが国の調査で判明しています。適切なコントロールで長時間労働や不公平を減らし、働き手・企業双方がWin-Winになれる環境を目指すことが、働き方改革の第一歩なのではないでしょうか。その他「ノー残業デー」「ムダ取り」など、さまざまなスローガンのもと残業抑制が行われています。従業員の管理には労務管理用の打刻ソフトウエアを利用、勤務時間の記録とともに、チャットの時間と照合した上で、上長が承認する仕組みを取り入れています。これは現場において働き方改革をリードする役割の方にもぜひ知っておいていただきたいポイントです。生産性向上は、組織構造や風土改革、個人のスキルアップも関係しますが何と言っても「業務プロセス・制度・システム」といった仕事そのものの効率化が鍵を握っています。働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。改めて、働き方改革の背景・課題をまとめた図解を載せておきます。図式としては、一見部署の時間外労働や余分な仕事が整理されたように見えても「他部署にその分を押し付けただけ」という事態になります。しかし、実際に働いている高齢者は一体どれくらいいるのでしょうか?働き方改革とは、一言でいえば「一億総活躍社会を実現するための改革」といえます。人手不足が叫ばれる中、働き方改革は中小企業にとって今すぐ取り組まなければならない重要な施策です。「非正規の格差改善」によって出産・育児・介護による女性の働き方の制限をなくしていくことに加え、現在労働市場に入っていない高齢者の労働参画も重要です。政府が「同一労働同一賃金」に取り組むのは経済的な理由があります。それは「デフレの解消」です。これ自体は効果的な取り組みですが、実際「自部署・自分がやらなくて良い仕事」と捉えられることも少なくありません。産前休暇は妊娠が判明した時点から取得可能、育児休暇は子どもが小学校入学するまでの最長6年間も取得可能、さらには男性も育児休暇を取得しないと、年間の休暇を短縮する、といったルールも設けています。具体的には65歳以降の継続雇用延長や、65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援が政府・各企業で検討されています。働き方改革には「生産性の向上」が不可欠であることはここまでお話しした通りです。在宅という環境下で、情報漏洩リスクの防止、勤怠管理を適切に行える仕組みが求められます。同じ職場で同じ仕事をする正規雇用の従業員と、非正規雇用の従業員との待遇や賃金格差をなくすことも、日本社会における課題の一つです。施行を目前に、あらためて自社の人事制度や福利厚生と照らし合わせてみてください。日本テレワーク協会によれば「ITを利用した、場所・時間にとらわれない働き方」と定義されています。しかし規制導入後はこれに違反すると、事業主に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。補足として「働き方改革」は、決して一過性のトレンドやブームではありません。一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む中でも「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」です。働き方改革のリードカンパニーが実践している主な取り組みには、以下の3つがあります。労働人口は、第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアが労働力として加わった24年前がピークでした。育児や介護の負担を抱える女性や高齢者が、正社員のようなある意味「制限なし」の働き方を選ぶのは限界があります。同社社長の青野慶久氏自らも育児休暇を取得し、男性社員への積極的な育児休暇の取得を呼びかけています。働き方改革の大目的・概要は上記お伝えしたとおりですが、これらを実現するためには3つの課題があります。2019年4月、先んじて大企業へ適用された時間外労働の上限規制。消費を促進し、インフレに向かっていくためにも、労働力の4割を占める非正規層の待遇改善は必須ということです。実は、日本の労働生産性は、OECD加盟国の中で21位/全36カ国となっています。主要7カ国のうちワースト2位です。従業員満足度・労働生産性を高めて企業売上向上に導く働き方改革を長時間労働が発生する根本を取り除かない限り、そのしわ寄せは中間管理職・プレイングマネージャー層が一手に引き受けることになります。オンラインアシスタントをはじめとした人材事業を運営する同社では、テレワークのことを「リモートワーク」と称し、「リモートワークを当たり前にすること」をミッションに、「労働革命で人々をもっと自由に」をビジョンとして掲げています。また、年平均労働時間を国際比較すると、週49時間以上働く労働者の割合が高く、特に男性はその割合が高いことがわかっています。次の項でお話しする非正規と正社員の格差も「非正規への選択肢を選びにくくする」という点で、長時間労働・正社員の負担増加にかかわっているわけです。その点で「ワークライフバランス」と「働き方改革」が近年近いものとして語られるのはごく自然なことです。今後の長寿社会では55歳以上の高齢者でさえ、キャリアの中間地点を迎えた中核戦力として位置づけられるかもしれません。働き方改革の一環として「捨てる会議」「やらなくて良い仕事を探す」という取り組みがよく聞かれます。全国41都道府県にいる318人の従業員のうち、97%が常時リモートワークを実施しており、働き方や勤務場所で区別されない数値化された目標を評価軸に設け、その達成度で評価が決まる制度を整備しています。生産性・労働の質は変わらずに、労働時間(労働量)だけを減らしていけば、長期的な国内産業は衰退してしまうでしょう。トヨタが働き方改革として率先して導入し話題になったのがテレワーク(在宅勤務)です。この次の章で「働き方改革の企業好事例」をご紹介していく訳ですが、自社で取り組みを行う際に気をつけなければいけない落とし穴があります。福利厚生の充実は、従業員満足度の充実による労働生産性の向上、離職率の低下・採用力の強化(人材不足の補填)など、様々なメリットがあります。そのため、結果的に非正規としての働き方を選ぶことになり、止むを得ず非正規で働く方は労働者全体の約4割を占めるとも言われています。老舗百貨店の高島屋では1991年から短時間正社員制度を導入しており、2019年には契約社員含む460人の社員が短時間勤務を利用しています。働き方改革について誤解されがちなことは「なるべく働かないことを良しとする改革」ではないという事です。首相官邸公式サイトからも「働き方改革の定義」を引用しておきましょう。といった福利厚生も、活力ある組織を作る手助けになり得ると考えています。2017年2月から、一部企業を対象に「プレミアムフライデー」が導入されたことは記憶に新しいでしょう。また長時間労働の問題は「出生率」にも影響していると考えられています。長時間労働を望まれる年齢と、出産・育児年齢が重なるためです。これからの人々は平均寿命が伸びるだけでなく、体力的な若さを保ったまま年を取っていきます。しかし経営層や企業担当者の方が「政府の取り組みだから」と働き方改革を考えると、その方針に振り回されてしまいかねません。企業の働き方改革担当者や経営層において、職場単位ごとに改善方針・最低限のルールまでを定めてからバトンタッチすることが好ましいでしょう。テレワーク導入のポイントは「リスク管理」「コミュニケーションの確保」「勤怠管理」です。女性がキャリアの中断や育児との両立の不安から出産に踏み切れなかったり、男性も育児・家事への協力がしにくいという現象につながります。2020年4月から中小企業もその対象となり、後述の36協定も時間外労働・休日労働に関する例外が厳しく規定され、違反した場合には法的な罰則を伴います。ここまで出てきた、働き方改革の背景と労働力不足のための対策がややこしくなってきた方がいるかもしれませんので、関係性を図にしておきます。経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」にも選出されたサイボウズ。その場合企業の課題は、継続的学習によるスキルの獲得をいかにサポートするかという点にあります。別名パートタイム労働法(2021年から「パートタイム・有期雇用労働法」となる)と呼ばれるこの法律は、2021年4月より中小企業にも適用されます。日本における労働時間は、週60時間以上の長時間労働者の割合は減少傾向にあるものの、依然として1割を超える水準にあります。 働き方改革の進捗状況. 上記にあげた長時間労働を是正するための取り組みのみならず、働く人々のニーズに応じた多様で柔軟な働き方の実現や、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などのさらなる推進が企業に求められるようになるでしょう。時間外労働を最大で年間720時間以内、月間100時間未満(休日労働含む)の上限規制が、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から導入されます。また、全ての企業に、2019年4月から有給休暇取得義務が課せられるようになります。現在の日本は「少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立といった働く人のニーズの多様化」など、人材確保の問題に直面しています。こうした情勢の中で就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる仕事環境を作ることが、企業にとっての重要な課題となっています。業種や社員規模、社風など、働き方改革に関連する要因が異なるため、前述した10社の取り組みはそれぞれの企業に応じたユニークなものでした。これらの事例を自社にそのまま当てはめ、働き方改革を推進しようとしても難しいでしょう。自社に必要な施策をきちんと見極め、今回ご紹介した10社の事例を参考にしながら、自社に最適なかたちの取り組みを検討してみてください。それでは、働き方改革の主要なテーマ別に、大手企業から中小企業までの成功事例をご紹介します。これらの課題の解決を目指して政府が推進している取り組みの一つが「働き方改革」です。一人一人の事情に応じて多様な働き方が選択できるようになれば、個人のよりよいライフスタイルの確立と、企業としての生産性向上の両立が実現できるでしょう。働き方改革関連法の段階的施行が4月から始まり、働き方改革推進への取り組みを本格的に考えている人事部門や経営企画部門の方は多いでしょう。そこで、働き方改革の代表的なテーマ別に、大手企業から中小企業まで、業種も異なる10社の先進的な成功事例をご紹介します。2018年6月に可決・成立した働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が、2019年4月1日から段階的に施行されます。 働き方改革に取り組む企業の様々な課題について、社会保険労務士等の専門家が無料で相談に応じます。また、様々な関係機関と連携し、出張相談会やセミナー等を実施します。 各都道府県労働局雇用環境・均等部 働き方改革推進支援センターのご案内. 施行される以前に既に働き方改革に着手している、または進めている最中という意識の高い企業ももちろんあります。 秋山輝之 [組織・人事スペシャリスト] Jun.
働き方改革関連法の段階的施行が2019年4月から始まり、働き方改革推進への取り組みを本格的に考えている人事部門や経営企画部門の方は多いでしょう。そこで、働き方改革の代表的なテーマ別に、大手企業から中小企業まで、業種も異なる10社の先進的な成功事例をご紹介します。 筆者の考えをお伝えすると、それに加えて「従業員満足度」のための働き方改革がより重要視されると考えています。今後、これらの取り組みによって「働きたい」と考えている高齢者に就労環境を整えていく必要があります。同社では短時間勤務を「育児勤務」「介護勤務」に分け、さらに勤務体系をパターン分けすることで社員の多様なニーズに対応しています。特に労働時間については、2020年4月から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されました。時間外労働の上限は原則月45時間・年間360時間となり、繁忙期などの例外を含んでも、年間720時間・複数月平均80時間・月100時間未満に制限されます。では最後に、筆者が厳選した「働き方改革の好事例」をご紹介します。残業を減らし、有給取得のしやすい環境整備も整えた、でも蓋をあけてみると売上が芳しくない…それは、本質的な働き方改革の実施ができていないことが原因です。人手不足の今、これまでも月45時間・年間360時間と決まりがあったものの、上限を超えても行政指導のみで、罰則はありませんでした。近年、内閣が働き方改革を掲げた背景の一つには、労働人口の急激な減少が挙げられます。育児や介護にたずさわる社員を対象に、勤務時間を2~3時間、または30分単位で短縮する事例が多くあります。また、企業における再就職受入支援や高齢者の就労マッチング支援の強化なども含まれます。現在の取り組み事例では「育児休暇から復帰した女性社員」の利用が多いのですが、今後は「両親の介護を目的とした男性社員、管理職社員の利用」も視野に入れて取り組むのがおすすめです。この記事が、経営者・従業員が公私共に充実した生活を送るための助けになれば幸いです。通常の社内コミュニケーションはチャットを利用し、リモートワークへの不安解消のため、全国4箇所に「キャスタースクエア」というサテライトオフィスを設けることで、ほぼ全従業員のリモートワークを可能にしているそうです。そして残業や長時間労働だけでなく、転勤・配転の命令にも応じなければならない実情があります。同社では離職率が28%を記録した2005年以降、ワークライフバランスに配慮した制度や、社内コミュニケーションを活性化する施策を実施。その結果、育休を取得した社員の復帰率は100%となり、2019年の離職率は4%に減少しました。ここで「生産年齢人口の減少」の際に掲載した図を再度載せますが、生産年齢人口の減少に反比例し、老年人口は上昇していく予測で、2060年には約3,500万人前後となります。特にポイントになるのが「法改正による時間外労働の上限規制の導入」です。残業削減・長時間労働抑制は「生産性の向上」と切り離しては成立しません。1つめは、今市場に参加していない層に働いてもらうこと、2つめは出生率を改善することなので分かりやすいと思います。とはいえ「働き方改革の流れになかなか乗れずにいる…」と思っている経営者、企業担当者の方は少なくないのではないでしょうか。実は、この労働人口減少の傾向は、90年代からすでに始まっていました。しかし「残業要因を特定し、根本を取り除く」ことのない残業削減は、取り組み自体の形骸化を招きます。賃金が上がらず、節約志向が改善されない限りデフレからの脱却は難しくなっています。ぜひ、今回の企業事例も参考に「自社の働き方改革で注力するポイント」を決めてみることをおすすめします。「同一労働同一賃金」とは、「労働によって同じ付加価値をもたらす人には、同じ賃金を支払うべきだ」という考え方のことです。労働人口の減少が特にクローズアップされるようになったのは、景気がある程度上向いたことの裏返しとも言えます。働き方改革では、この待遇・働き方の格差を改善することを掲げ、具体的には下記の取り組みを行なっています。逆にこの注意点を押さえておけば、企業事例を参考に自社で取り組む際「現場に負荷だけがかかって、改善できずに終わる」というリスクを減らすことが出来ると思います。あくまで「多用かつ柔軟な働き方の見直しによって、労働生産性を高める」ことにフォーカスすべきだと考えます。育児休暇と同様に、働き方改革で多くみられる取り組みが「短時間勤務制度」です。「このままでは、国全体の生産力低下・国力の低下は避けられない」として、内閣が本格的に「働き方改革」に乗り出したのです。政府はこれを働き方改革の目玉として位置づけており、福利厚生・教育なども含めた改革のため「同一労働・同一待遇」という表現もできるでしょう。残業要因自体を改善しないと、従業員は残業を申告しにくい雰囲気の一方、持っている仕事が減らないという状態になるからです。同社ではいち早く働き方改革を行なっており、2006年より独自の育児休暇制度を導入しています。残業削減に取り組む一方で、企業としては売上の維持、利益の確保というミッションは無視できません。平成7(1995)年には8,000万人を超えていましたが、それ以降は減少の一途をたどっています。これらは実際に、筆者の周りで働き方改革に取り組む経営者の何人かがはまっている落とし穴でもあります。2019年には大企業を対象に施行されており、2020年4月には中小企業もその対象となります。日本社会における労働人口の慢性的な減少を受け、2016年9月に政府が「働き方改革実現推進室」を設置してから、労働環境改善のためのさまざまな取り組みが行われています。2019年に厚生労働省が主催する「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」において特別奨励賞を受賞した株式会社キャスター。たとえば、非正規のベテラン社員の給与が、同じ仕事をする新卒正社員よりも格段に安いといった場合、是正されるべき方向で検討されています。部署単位で働き方を見直すことは大切ですが、全社的に時間外労働の問題を解決することを忘れてはいけません。これを拒否すると、有期契約社員やパートとして働くことを余儀なくされることもあります。特に若年層は企業への帰属意識は薄くなり、雇用の流動化がますます強まると指摘されています。その目的は「将来的に非正規という枠組み自体をなくし、ライフステージにあわせた働き方を選べるようにする」ということです。ここまでの話をまとめると、労働力不足を解消し、一億総活躍社会を作るために日本の産業成長、また、企業の生存・発展のために、長い時間をかけて行う必要があるものです。2020年4月からは、すでに2019年から大企業で施行されている「働き方改革関連法」が、中小企業でも本格的に適用されました。働き方改革に取り組む上でも「現場主導」というと聞こえは良いのですが、中間管理職に「任せた」と丸投げすることは避けるべき事態です。政府は、物価上昇率2パーセントを目標に掲げていました。しかし日本では、諸外国に比べて長い間賃金が上がっていません。それは「働き方改革を精神論・形だけのもので終わらせない」ためのポイントと言っても良いでしょう。しかし多くの企業にとっては、バブル崩壊後の物的・人的資産の縮小期間と重なっていたため、緊急の課題と捉えられることはありませんでした。「働き方改革」で、どういった対策が検討・実施されているかもあわせてお伝えします。これは「日本再興戦略2016年」の一環として、柔軟な働き方を推進するために官民合同で導入されたものです。今の日本では、高齢者の約7割が「65歳を超えても働きたい」と考えていることが国の調査で判明しています。適切なコントロールで長時間労働や不公平を減らし、働き手・企業双方がWin-Winになれる環境を目指すことが、働き方改革の第一歩なのではないでしょうか。その他「ノー残業デー」「ムダ取り」など、さまざまなスローガンのもと残業抑制が行われています。従業員の管理には労務管理用の打刻ソフトウエアを利用、勤務時間の記録とともに、チャットの時間と照合した上で、上長が承認する仕組みを取り入れています。これは現場において働き方改革をリードする役割の方にもぜひ知っておいていただきたいポイントです。生産性向上は、組織構造や風土改革、個人のスキルアップも関係しますが何と言っても「業務プロセス・制度・システム」といった仕事そのものの効率化が鍵を握っています。働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。改めて、働き方改革の背景・課題をまとめた図解を載せておきます。図式としては、一見部署の時間外労働や余分な仕事が整理されたように見えても「他部署にその分を押し付けただけ」という事態になります。しかし、実際に働いている高齢者は一体どれくらいいるのでしょうか?働き方改革とは、一言でいえば「一億総活躍社会を実現するための改革」といえます。人手不足が叫ばれる中、働き方改革は中小企業にとって今すぐ取り組まなければならない重要な施策です。「非正規の格差改善」によって出産・育児・介護による女性の働き方の制限をなくしていくことに加え、現在労働市場に入っていない高齢者の労働参画も重要です。政府が「同一労働同一賃金」に取り組むのは経済的な理由があります。それは「デフレの解消」です。これ自体は効果的な取り組みですが、実際「自部署・自分がやらなくて良い仕事」と捉えられることも少なくありません。産前休暇は妊娠が判明した時点から取得可能、育児休暇は子どもが小学校入学するまでの最長6年間も取得可能、さらには男性も育児休暇を取得しないと、年間の休暇を短縮する、といったルールも設けています。具体的には65歳以降の継続雇用延長や、65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援が政府・各企業で検討されています。働き方改革には「生産性の向上」が不可欠であることはここまでお話しした通りです。在宅という環境下で、情報漏洩リスクの防止、勤怠管理を適切に行える仕組みが求められます。同じ職場で同じ仕事をする正規雇用の従業員と、非正規雇用の従業員との待遇や賃金格差をなくすことも、日本社会における課題の一つです。施行を目前に、あらためて自社の人事制度や福利厚生と照らし合わせてみてください。日本テレワーク協会によれば「ITを利用した、場所・時間にとらわれない働き方」と定義されています。しかし規制導入後はこれに違反すると、事業主に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。補足として「働き方改革」は、決して一過性のトレンドやブームではありません。一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む中でも「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」です。働き方改革のリードカンパニーが実践している主な取り組みには、以下の3つがあります。労働人口は、第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアが労働力として加わった24年前がピークでした。育児や介護の負担を抱える女性や高齢者が、正社員のようなある意味「制限なし」の働き方を選ぶのは限界があります。同社社長の青野慶久氏自らも育児休暇を取得し、男性社員への積極的な育児休暇の取得を呼びかけています。働き方改革の大目的・概要は上記お伝えしたとおりですが、これらを実現するためには3つの課題があります。2019年4月、先んじて大企業へ適用された時間外労働の上限規制。消費を促進し、インフレに向かっていくためにも、労働力の4割を占める非正規層の待遇改善は必須ということです。実は、日本の労働生産性は、OECD加盟国の中で21位/全36カ国となっています。主要7カ国のうちワースト2位です。従業員満足度・労働生産性を高めて企業売上向上に導く働き方改革を長時間労働が発生する根本を取り除かない限り、そのしわ寄せは中間管理職・プレイングマネージャー層が一手に引き受けることになります。オンラインアシスタントをはじめとした人材事業を運営する同社では、テレワークのことを「リモートワーク」と称し、「リモートワークを当たり前にすること」をミッションに、「労働革命で人々をもっと自由に」をビジョンとして掲げています。また、年平均労働時間を国際比較すると、週49時間以上働く労働者の割合が高く、特に男性はその割合が高いことがわかっています。次の項でお話しする非正規と正社員の格差も「非正規への選択肢を選びにくくする」という点で、長時間労働・正社員の負担増加にかかわっているわけです。その点で「ワークライフバランス」と「働き方改革」が近年近いものとして語られるのはごく自然なことです。今後の長寿社会では55歳以上の高齢者でさえ、キャリアの中間地点を迎えた中核戦力として位置づけられるかもしれません。働き方改革の一環として「捨てる会議」「やらなくて良い仕事を探す」という取り組みがよく聞かれます。全国41都道府県にいる318人の従業員のうち、97%が常時リモートワークを実施しており、働き方や勤務場所で区別されない数値化された目標を評価軸に設け、その達成度で評価が決まる制度を整備しています。生産性・労働の質は変わらずに、労働時間(労働量)だけを減らしていけば、長期的な国内産業は衰退してしまうでしょう。トヨタが働き方改革として率先して導入し話題になったのがテレワーク(在宅勤務)です。この次の章で「働き方改革の企業好事例」をご紹介していく訳ですが、自社で取り組みを行う際に気をつけなければいけない落とし穴があります。福利厚生の充実は、従業員満足度の充実による労働生産性の向上、離職率の低下・採用力の強化(人材不足の補填)など、様々なメリットがあります。そのため、結果的に非正規としての働き方を選ぶことになり、止むを得ず非正規で働く方は労働者全体の約4割を占めるとも言われています。老舗百貨店の高島屋では1991年から短時間正社員制度を導入しており、2019年には契約社員含む460人の社員が短時間勤務を利用しています。働き方改革について誤解されがちなことは「なるべく働かないことを良しとする改革」ではないという事です。首相官邸公式サイトからも「働き方改革の定義」を引用しておきましょう。といった福利厚生も、活力ある組織を作る手助けになり得ると考えています。2017年2月から、一部企業を対象に「プレミアムフライデー」が導入されたことは記憶に新しいでしょう。また長時間労働の問題は「出生率」にも影響していると考えられています。長時間労働を望まれる年齢と、出産・育児年齢が重なるためです。これからの人々は平均寿命が伸びるだけでなく、体力的な若さを保ったまま年を取っていきます。しかし経営層や企業担当者の方が「政府の取り組みだから」と働き方改革を考えると、その方針に振り回されてしまいかねません。企業の働き方改革担当者や経営層において、職場単位ごとに改善方針・最低限のルールまでを定めてからバトンタッチすることが好ましいでしょう。テレワーク導入のポイントは「リスク管理」「コミュニケーションの確保」「勤怠管理」です。女性がキャリアの中断や育児との両立の不安から出産に踏み切れなかったり、男性も育児・家事への協力がしにくいという現象につながります。2020年4月から中小企業もその対象となり、後述の36協定も時間外労働・休日労働に関する例外が厳しく規定され、違反した場合には法的な罰則を伴います。ここまで出てきた、働き方改革の背景と労働力不足のための対策がややこしくなってきた方がいるかもしれませんので、関係性を図にしておきます。経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」にも選出されたサイボウズ。その場合企業の課題は、継続的学習によるスキルの獲得をいかにサポートするかという点にあります。別名パートタイム労働法(2021年から「パートタイム・有期雇用労働法」となる)と呼ばれるこの法律は、2021年4月より中小企業にも適用されます。日本における労働時間は、週60時間以上の長時間労働者の割合は減少傾向にあるものの、依然として1割を超える水準にあります。 働き方改革の進捗状況. 上記にあげた長時間労働を是正するための取り組みのみならず、働く人々のニーズに応じた多様で柔軟な働き方の実現や、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などのさらなる推進が企業に求められるようになるでしょう。時間外労働を最大で年間720時間以内、月間100時間未満(休日労働含む)の上限規制が、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から導入されます。また、全ての企業に、2019年4月から有給休暇取得義務が課せられるようになります。現在の日本は「少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立といった働く人のニーズの多様化」など、人材確保の問題に直面しています。こうした情勢の中で就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる仕事環境を作ることが、企業にとっての重要な課題となっています。業種や社員規模、社風など、働き方改革に関連する要因が異なるため、前述した10社の取り組みはそれぞれの企業に応じたユニークなものでした。これらの事例を自社にそのまま当てはめ、働き方改革を推進しようとしても難しいでしょう。自社に必要な施策をきちんと見極め、今回ご紹介した10社の事例を参考にしながら、自社に最適なかたちの取り組みを検討してみてください。それでは、働き方改革の主要なテーマ別に、大手企業から中小企業までの成功事例をご紹介します。これらの課題の解決を目指して政府が推進している取り組みの一つが「働き方改革」です。一人一人の事情に応じて多様な働き方が選択できるようになれば、個人のよりよいライフスタイルの確立と、企業としての生産性向上の両立が実現できるでしょう。働き方改革関連法の段階的施行が4月から始まり、働き方改革推進への取り組みを本格的に考えている人事部門や経営企画部門の方は多いでしょう。そこで、働き方改革の代表的なテーマ別に、大手企業から中小企業まで、業種も異なる10社の先進的な成功事例をご紹介します。2018年6月に可決・成立した働き方改革関連法(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が、2019年4月1日から段階的に施行されます。 働き方改革に取り組む企業の様々な課題について、社会保険労務士等の専門家が無料で相談に応じます。また、様々な関係機関と連携し、出張相談会やセミナー等を実施します。 各都道府県労働局雇用環境・均等部 働き方改革推進支援センターのご案内. 施行される以前に既に働き方改革に着手している、または進めている最中という意識の高い企業ももちろんあります。 秋山輝之 [組織・人事スペシャリスト] Jun.